なかなか広がらない前屈可動域
カラダの柔らかさの指標となる体幹の”前屈”。
前屈には立った状態で行う立位体前屈や座って行う長座体前屈などがあり、カラダの硬い人にとってはどちらも苦痛なものです。カラダを柔らかくしようと頑張って日々前屈を続けても、そう簡単に柔らかくならず挫折した人も多いのではないでしょうか。前屈可動域を広げるためにはどのような動きの要素が必要なのか考えてみましょう。
もくじ
前屈が苦手な人に多い腰痛や肩こり
身体が前屈する条件を理解する
①もも裏の筋肉が伸びなければならない
②膝浦やふくらはぎの筋肉が伸びなければならない
③殿筋が伸びなければならない
④肩甲骨が動かなければならない
体幹の前屈可動域を広げる方法は?
ハムストリングのストレッチ
膝裏とふくらはぎのストレッチ
殿筋群のストレッチ
背部~肩甲骨周りのストレッチ
前屈を妨げる要素を解消することが大切
前屈が苦手な人に多い腰痛や肩こり
ただカラダが硬いというだけであれば特に問題はないのですが、極端に柔軟性が乏しいと思わぬ怪我やカラダの不調の原因になるため注意が必要です。
前屈が苦手な人は下肢後面の筋の伸張性や背部の可動性が乏しい傾向にあります。そのため前屈時に仙腸関節周囲の筋肉にかかるストレスが大きく、慢性的な腰痛やぎっくり腰を繰り返すケースも少なくありません。また、背部の筋緊張は肩甲骨と鎖骨の可動性を制限してしまうため、肩こりの原因になってしまいます。前屈を制限する要素が腰痛や肩こりを引き起こす要因となるため、可動域を広く保てるように努力しましょう。
身体が前屈する条件を理解する
体幹の前屈は腰の動きだけでは成り立ちません。前屈はももの裏側の伸びが良くなれば前屈の可動域が改善されると考える方が多いのではないでしょうか。もちろん太ももの裏にある筋肉が伸びるのは必須条件ですが、前屈するためにはそれ以外にもいくつかの動きが必要です。
①もも裏の筋肉が伸びなければならない
大腿後面のハムストリングは前屈したときに突っ張りを感じやすいので、ハムストリングが伸びなければ体幹を前屈できないことは簡単にイメージできると思います。ハムストリングは坐骨から膝関節を超えて脛骨や腓骨についており、内側ハムストリングと外側ハムストリングの2つに分かれて走行しています。内外側両方の伸張性が必要です。
②膝裏やふくらはぎの筋肉が伸びなければならない
バレリーナのようにつま先立ちや背伸び状態で前屈する特殊な場合や座位での体前屈を除き、立位体前屈では足関節が直角以上に曲がった状態で状態を倒します。そのため膝裏にある筋肉やふくらはぎの筋肉の伸張性が悪ければ、状態を前に倒すことができません。前屈の可動域を大きくしたければ、膝裏やふくらはぎの筋肉もしっかり伸ばす必要があります。
③殿筋が伸びなければならない
体前屈をする際には股関節を屈曲して、大腿部と体幹の距離を近づけなければなりません。股関節を覆っている殿筋群の緊張が強いままでは股関節の屈曲動作が制限されてしまい、前屈しにくくなってしまいます。外側に荷重がかかりやすい強い場合や内側ハムストリングの伸張性が乏しい場合は大腿が常に外旋している傾向にあるため、外旋筋群のストレッチも合わせて行うことをおすすめします。
④肩甲骨が動かなければならない
体前屈が妨げられる原因は下肢の筋肉ばかりに着目されがちですが、腕をつま先の方向に伸ばす動きを伴うため、肩甲骨が動かなければなりません。肩甲骨が上方向に動く”拳上”、ハの字に動く”上方回旋”の動きが必要です。
体幹の前屈可動域を広げる方法は?
ぎゅうぎゅうと体前屈の動作に反動をつけて繰り返したり、むやみに背後から誰かに押してもらったりしてもなかなか可動域が広がりません。前屈するためにどこの筋肉の伸びが必要か、カラダのどの部分が動かなければならないのかを理解したうえで、前屈を制限している要素を緩和させることができれば、前屈の可動域が広がりやすくなります。
ハムストリングのストレッチ
大腿後面にある大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋をストレッチします。
外側ハムストリング(大腿二頭筋)と内側ハムストリング(半腱様筋・半膜様筋)に分けてしっかりストレッチしましょう。
膝裏とふくらはぎのストレッチ
ハムストリングの伸張性を助ける目的で、膝裏からふくらはぎにかけてのストレッチを行います。膝裏やふくらはぎの筋である下腿三頭筋の伸張性が乏しいと足関節の伸展可動域が狭くなってしまい、特に立位での体前屈でストレスとなります。
殿筋群のストレッチ
殿筋のなかでも一番大きな大殿筋をストレッチします。大腿が外旋傾向にある場合は梨状筋などの外旋筋のストレッチも合わせて行うと良いでしょう。長座の体勢をとった時に極端につま先が外向きに倒れる場合や、立ち姿勢がガニ股気味の場合は、特に大腿が外旋傾向にあると言えますので梨状筋をしっかり伸ばしましょう。
背部~肩甲骨周りのストレッチ
肩甲骨の拳上と上方回旋の可動域を広げるためのストレッチが必要です。背部にある大きな広背筋、鎖骨を下制している鎖骨周囲や胸部の筋など、肩甲骨周りのストレッチを行いましょう。体前屈をした際に上体を前に倒しやすくするのが目的です。
前屈を妨げる要素を解消することが大切
大腿後面が伸びない場合はもちろんのこと、体前屈の際に骨盤を前傾することができず後傾したままであったり、背部の可動性が悪いと思うように前屈することができません。
体前屈の可動域を広げたいのであれば、まずは前屈の動きを妨げている要素が何かを判断し、原因となる動きを改善したり筋の伸張性を高める必要があります。
日々前屈しているのに可動域が広がらないという方は、無理やり前屈動作をするのではなく、順を追ってストレッチをしてみると良いでしょう。