第5中足骨骨折後に痛みが取れないケース

治ったはずなのに第5中足骨骨折の痛みが取れない

骨折部の位置によってJones骨折(ジョーンズ骨折)や下駄骨折などと呼ばれる第5中足骨骨折。スポーツ選手に多い骨折のひとつでもあります。

特にJones骨折とよばれる第5中足骨近位骨幹部(第5中足骨の真ん中より少し踵寄り)の骨折は血流が乏しく、治癒までの期間が長引いたり、骨折端がくっつかなかったりする場合が多く再発が多いので、治療中に無理は禁物です。一方、不全骨折(ヒビ)の状態では、手術を行わずに保存療法で様子を見るケースが多いのですが、骨折自体は治癒したはずなのに痛みを感じるという方も多いようです。

骨折が治っているはずなのに痛むのはなぜか?第5中足骨骨折治癒後に残る痛みについて考えてみましょう。

もくじ
第5中足骨はどこにある?場所を確認しよう
第5中足骨骨折の原因
第5中足骨骨折の症状
踏み込みや切り返しの多いスポーツに好発
サッカー
ラグビー
バスケットボール
骨折が治っても痛みが取れないのはなぜ?
足底アーチの状態が悪いと第5中足骨周囲の負担が増える!?
第5中足骨骨折後の痛みが残る場合に試してほしいこと
後脛骨筋を緩める
脛腓関節の可動性を確保する
アーチ補強効果のある中敷きを活用する
第5中足骨周囲にかかるストレスを取り除こう

第5中足骨はどこにある?場所を確認しよう

足骨は足の甲の指の付け根部分に5本並んでおり、5本のうち一番外側の中足骨が第5中足骨です。

遠位(つま先側)では第5基節骨(だい5きせつこつ)と、近位(踵側)では立方骨(りっぽうこつ)と関節をつくっています。

また、5本の中足骨と立方骨・第1楔状骨・第2楔状骨・第3楔状骨との関節面は1列に並んでいて、リスフラン関節という関節を構成しています。

第5中足骨骨折の原因


第5中足骨骨折の多くは、オーバーユース(使いすぎ)に起因するものです。ランニング動作やジャンプ動作、切り返し動作などを繰り返し、足底アーチに過重負荷がかかることで疲労骨折を起こします。その他同様の慢性的ストレスのもとで、足首を捻ったり足を踏まれたりして起こることが多い骨折です。

第5中足骨骨折の症状


症状の出方は骨折部位によって異なりますが、荷重時や歩行時に患部周囲に痛みが出現し、歩行が困難になります。

第5中足骨基部(踵側の端部)の骨折は下駄骨折とよばれ、受傷直後からの強い痛みや熱感・腫脹・皮下出血が特徴です。骨幹部(中央部)の骨折はJones骨折とよばれていて、受傷後徐々に痛みが強くなり、熱感・腫脹や皮下出血は出ない場合もあります。

不全骨折など比較的軽度の場合、足関節捻挫ではないかと軽視してしまうことがあるので注意しましょう。

踏み込みや切り返しが多いスポーツに好発

第5中足骨骨折は繰り返しの踏み込み動作や切り返し動作に加え、コンタクトプレイの多い競技で頻発します。特にサッカーやラグビー、バスケットボールなどで多く見られるスポーツ外傷です。

サッカー

フィールドのプレイヤーに関しては、1試合90分間に10㎞前後の距離を走っていると言われるサッカー。
長時間にわたるランニングやダッシュ、切り返し動作に加え、コンタクトプレイ中に足を踏まれたり捻ったりする可能性も高く、第5中足骨骨折が多い代表的なスポーツです。より素早い足捌きを必要とするフットサルでも同様です。

ラグビー

サッカー同様に1試合の平均走行距離がおおよそ6㎞と長いラグビーは、コンタクトプレイがとても多いスポーツです。
全力で走っている間に身体の大きなプレイヤーからタックルを受ける機会が多く、踏み込む力が大きいだけでなく自重以外の負荷も足にかかりやすいのが特徴です。

慢性的な荷重ストレス下にさらされることに加えて足にかかる外力も大きく、特にJones骨折が頻発するスポーツです。

バスケットボール

サッカーやラグビー程プレイ時間が長くはないものの、バスケットボールは切り返し動作が多く、ダッシュやジャンプなど足底アーチに急激な荷重負荷が繰り返しかかるのが特徴です。

バスケットボールは運動量に加えてコンタクトプレイも多いため、第5中足骨骨折が多く発症するスポーツと言えます。

骨折が治っても痛みが取れないのはなぜ?

第5中足骨骨折では、完全骨折した場合や不全骨折(ヒビ)でも重症例である場合には手術療法の適応です。手術療法を行った場合でも、ギプスなどによる保存療法を行った場合でも、骨折自体は治癒したはずなのに歩行時や荷重時の痛みが取れないケースを多く見かけますが、なぜ痛みが残るのでしょうか?

足底アーチの状態が悪いと第5中足骨周囲の負担が増える!?

私たちの足の裏には「土踏まず」と言われる足底アーチが存在します。

足底アーチはひとつの骨がアーチ型をしているのではなく、中足骨を含む足の骨が連結し、足底筋膜やその他の筋肉がバランスよく支え合うことで構成されています。

足底アーチは踏み込んだ際にかかる荷重をうまく分散させるのに重要です。第5中足骨骨折では治癒までの間に、痛みやバランス不良などが原因で足底アーチが低下してしまうことが多くあります。その結果、骨折自体が問題なく治癒したはずでも中足骨周囲にかかる負担が大きくなり、痛みが取れないケースが少なくありません。

第5中足骨骨折後の痛みが残る場合に試してほしいこと

第5中足骨骨折後には足底アーチを補強する目的で、足の指でタオルを手繰り寄せる「タオルギャザー」などのリハビリを指示されることが多くあります。タオルギャザーなどのトレーニングはもちろん有効ですが、並行して第5中足骨へのストレスを緩和させるように足回りの状態を整えておくのがおすすめです。

後脛骨筋を緩める

後脛骨筋(こうけいこつきん)は脛骨とふくらはぎの筋肉の間にある筋肉で、足関節を底屈・内反させる働きをもつ筋肉です。
前脛骨筋(ぜんけいこつきん)と一緒に足底の内側縦アーチを引き上げる働きをしています。

後脛骨筋が緊張して固くなり、うまく機能できなければ内側縦アーチが低下する原因にもなります。

脛骨(けいこつ)の内側や膝裏にあるくぼみの少し下からアプローチできるので緩めてみましょう。

脛腓関節の可動性を確保する

脛腓関節(けいひかんせつ)は脛骨と腓骨(ひこつ)というスネにある2本の骨が作る関節です。脛腓関節自体、大きな動きをする間接ではありませんが、わずかながら足関節や足底アーチの動きと連動して動いています。

脛腓関節付近にある前脛骨筋や腓骨筋(ひこつきん)群の緊張が強まると、脛腓関節の動きが制限されてしまいます。

関節周囲の筋肉にアプローチして脛腓関節の可動性を確保しましょう。

アーチ補強効果のある中敷きを活用する

第5中足骨骨折ごに残る痛みの多くは、踏み込んで足底アーチに過重負荷がかかる時に出現することがほとんどです。

足底アーチはその名の通りアーチ形をしていますが、荷重がかかると若干潰れてバネのように押し戻すようにはたらきます。

足底アーチが変形する際に痛みがでるのであれば、アーチ補強効果のある中敷きなどを用いて、荷重時に足底アーチが潰れないように支えるのも有効です。

第5中足骨周囲にかかるストレスを取り除こう

骨折部位が治癒し、患部を軽く指で押してみても痛みがない場合は、骨折自体の痛みではない可能性があります。第5中足骨骨折のリハビリを行い、治癒と判断されてからも痛みが残っている場合には、このまま痛みが残るのではないかと悲観せずに、なぜ痛みが取れないのか考えてみましょう。

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