これまで「腰や膝が痛くなったけれど、温めた方がいいのか冷やした方がいいのか分からない」などのご相談をいただくことが多々ありました。腰がどんな痛みだったら温めて、どんな場合には冷やして、膝を痛くした場合は?突き指したら??と個別にどうするか覚えるのは大変なので、基本の考え方をマスターしましょう。
もくじ
痛いときは冷やすのか?温めるのか?
急性の怪我にはアイシング
炎症症状をなるべく出さない方が治りは早い
アイシングは必ず温度で冷やすこと!!
慢性的な症状は温めると◎
温めるときは低温やけどに気をつける
外傷に対するRICE処置とは
適切な処置でつらい症状の早期緩和を図る
痛いときは冷やすのか?温めるのか?
冷やすべき怪我を温めてしまったり、温めるべき痛みを冷やしてしまったりすると、症状が悪化して治癒までの期間が長引いてしまうことも。どのようなケースでどのような処置が必要なのか、適切に判断することが大切です。
急性の怪我にはアイシング!
急な外力が加わることでおこった怪我の場合、速やかにアイシングをしましょう。急性の怪我では患部に炎症が起きているため、沈静化を図るためにも冷やすのが正解です。
捻挫や打撲はもちろんのこと、ぎっくり腰や突き指なども、初期段階でしっかり冷やすと、断然早く症状が緩和します。
重度の寝違えなどで鋭い痛みを伴う場合も、初期にはアイシングが有効です。
炎症症状をなるべく出さないようにすると治りが早い
炎症症状とは、発赤・腫脹・発熱・疼痛の4つを主徴とする症状です。
炎症部位では生体防衛機構として血管が拡張し、血流が増加したり白血球が炎症部位に反応したりしてカラダを守ろうとしています。
患部の腫脹や内出血が多いと、その吸収にかかる分だけ治癒までに多くの時間が必要に。アイシングや軽度の圧迫など適切な初期処置を行い、できるだけ腫脹や内出血を出さないようにしましょう。
アイシングは必ず温度で冷やすこと!!
湿布薬や塗り薬は鎮痛作用のある成分を経皮的に取り入れようというもので、表面がスースーするものの、内部温度は大きく下がりません。患部を冷やしたい場合は、氷や保冷剤など温度の低いものでアイシングをするのがおすすめです。
湿布などの薬剤を使用するのが問題ありませんが、その上からしっかりとアイシングしましょう。凍傷にならないよう、配慮が必要です。
慢性的な症状は温めると◎
慢性腰痛や肩こりなど、筋肉のハリやコリが由来の痛みは温めることで症状が緩和するケースが多いです。寒さで古傷がうずくような場合も冷やさないようにしましょう。温泉やお風呂でカラダ全体を暖めるのも効果的です。
急性の痛みにはアイシングが有効ですが、痛みの種類が数日たって鋭いものから鈍痛に変化してきたらアイシングをやめて次は温めましょう。炎症症状が消失した頃から温め始めるのが適切です。
温めるときは低温やけどに気をつける
温める際にカイロを貼ったりホットパックを使用したりすることが多いですが、その際には低温やけどに気をつけましょう。
通常のやけどに比べて低温やけどは低い温度で時間をかけて熱傷を負うため気づくまでに時間がかかり重症化することがあります。
外傷に対するRICE処置とは
スポーツ外傷に限らず、急性外傷受傷時に必要な応急処置は
・Rest(安静)
・Icing(冷却)
・Compression(圧迫)
・Elevation(拳上)
であり、合わせて”RICE処置”と呼ばれています。
医療機関を受診する前段階に早急に行うことで、治癒までの期間を大幅に短縮することができます。受傷部位によってできることにバラつきはありますが、初期にできる限りRICE処置を行い、早く復帰できるように努めましょう。
適切な処置でつらい症状の早期緩和を図る
急性の鋭い痛みはしっかりアイシングし、慢性の鈍い痛みは温めるという基本を理解できていればもう迷うことはありません。特に急性の怪我であればあるほど初期処置の的確さが治癒までの期間を大きく左右します。
特にアイシングはスポーツ外傷においても重要な処置です。腫れや内出血などの炎症症状が現れるか様子を見てから処置を考えるのではなく、炎症症状を出さないように速やかに対応しましょう。